はじめに
こんにちは。
今回は、保有株であるスクロール(8005)の決算内容を振り返りたいと思います。
通販・eコマース(EC)事業が主力の同社ですが、コロナ特需による追い風を受けた21.3期は最終利益7.3倍、配当は6倍と大躍進でした。一方、本決算と同時に開示した22.3期の業績見通しがかなり保守的で、その後売り込まれました。過去記事に書いていますので、ご興味ありましたら以下をご覧下さい。
会社予想の業績をクリア(上振れ)するのは当然として、コロナ特需の反動減や上振れ幅がどの程度か読めませんでしたので、ここの決算は非常に注目してウォッチしています。
スクロールについて
東証一部上場で時価総額305億円と規模の小さな会社です。旧社名はムトウ、小売業に属しています。筆頭株主は総合商社の丸紅。
生協向けカタログ販売を行う通販事業、eコマース(EC)事業を主力としています。今後の成長ドライバーは、通販・EC事業者をワンストップでサポートするソリューション事業と位置付けています。その他、現在は赤字ですが健粧品、旅行事業なども行っています。
創業来のビジネスモデルは無店舗直接販売です。もともと(1950年代)は自社(静岡県浜松市)で製作した衣服を、出張員を介して全国で販売していました。これが同社の言う「ダイレクト・マーケティング」の始まりですね。それが、時代の変化とともに紙媒体でのカタログ販売、さらにECへと変化してきました。現在はダイレクト・マーケティング・コングロマリット(DMC)を志向しており、M&Aで中核事業とシナジーのある会社を傘下に加えるなど多角化を進めている途上です。
同社HPに掲載されている『Value Creation Book 2020』と題した資料で中期経営計画や事業戦略等が詳しく説明されていますので、ご興味ある方は以下URLからご覧下さい。
スクロールHP:スクロール scroll
決算内容
さて、気になる決算内容です。10/29に2Q決算が発表されています。なお、今期から「収益性の認識に関する会計基準」の適用により会計処理の方法が異なっています。従って、前年の数値と単純比較することはできませんが、決算説明資料には同基準の適用前と後の双方の数値が開示されていましたので、参考値として両方とも載せておきます。
22.3期1Q業績(実績)
「収益性の認識に関する会計基準」適用後
売上−3.5%、営業利益+11.2%、最終利益+8.6%
同基準適用前(参考値)
売上−0.9%、営業利益+10.8%
(最終利益の増減は開示なし)
減収増益。コロナ特需で「出来過ぎ」とも思えた昨年よりも増益なので、まずまずの前半戦と言えそうです。
通期見通しは、やはり上方修正が出ました。当ブログでも1Qの決算レビューで以下の様に書いていました。
ただし、最終利益の予想が28億円の所、1Q時点で20億円と進捗率は71%。仮にコロナ特需の剥落があったとしても、普通に行けば業績の上方修正は間違いないと見ています。そして、「配当性向40%を基本」の方針通り、増配も期待できるでしょう。
修正内容ですが、売上は据え置きながら、前回予想対比で営業利益+51.3%、最終利益+50%となりました。そして、修正後の最終利益は42億円、2Q終了時点で既に32億円ですから、進捗率は76%になります。下期はコロナ特需の反動減が予測されますが、流石に上振れ着地してくるのではないかと見ています。
そして配当予想も上方修正し、48.5円(中間:10円、期末:38.5円)としました。昨年は1月に増配アナウンスを出した後、5月に再度の増配発表があり、最終的に60円となりました。これまでの経緯を見ていると、かなり慎重にIRを出してきている印象なので、再度の増配発表も期待できるかもしれません。
スクロール決算説明資料より
個人的には、より長期の目線でコロナ後の事業運営(コロナ特需の剥落や競合参入による競争激化への対応)や業績見通しがどうなるのかに注目したいと考えています。中計では既存ビジネスからの脱却を掲げ、ソリューション・ベンダー・ビジネス(SBV)およびソリューション事業の拡大を掲げています。同社の言うSBVとは、全国一律のカタログ展開と違い、下図の様に地域ごとのニーズに応じて商材等を展開するビジネスの様です。正直な所、SBVについてまだよく理解できていませんが、着実に成長している様です。
スクロール_『Value Creation Book 2020』
値動きが大きいので買い増しのタイミングが難しいですが、買値は688円と、個人的に「高見の見物」を楽しめる銘柄でもあります。欲張り過ぎず、しばらくは静観のつもりです。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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